アザラシ革の種類と特徴

当店では「アザラシ革」として統一の表記としていますが、実際には、アシカ、オットセイ、ごく稀に入荷する大型のトドなど、いわゆる「海獣」類全般を総称してこのカテゴリにまとめています。英文表記では「SEAL Leather」となります。

現在、東京店にて販売しているのは以下の2種となります。

1:名称:ハープシール

(学術名:Phoca groenlandica)
北大西洋、北米、北欧沿岸に生息し、別名バッフィンシール、タテゴトアザラシとも呼ばれています。直線的な凹凸模様が特徴ですが、部位によっては下記のケープシールに似た模様の部位も見受けられます。

タテゴトアザラシ バッフィンシール

2:名称:ケープシール

(学術名:Arctocephalus pusillus)
南アフリカ沿岸に生息し、ミナミアフリカオットセイとも呼ばれています。上記のハープシールより若干サイズが小さめです。凹凸もハープシールより複雑に絡み合った模様を呈しており、流通量も少なめです

 アシカ 南アフリカオットセイ

どちらも新規入荷のほとんど無い希少な革です。革の流通の仕組みとしては「ゾウ革」と共通する部分もあり、供給側で流通量が制限される希少な革素材となります。

また、アザラシ革は本来キズのとても多い革です。ですが毛で覆われた状態では細かなキズの確認は困難で、いざ仕上げてみるとキズだらけで価値が無くなってしまう革が少なくありません。ですので数に限りがある中で、「毛皮」としての利用がメインとなっており、「革」としての流通はますます少なくなっています。(毛皮ですと多少のキズは隠れますので、)

このような理由から、革としての新規入荷、特に毛皮ではなく「革」として良質の品は圧倒的に少ないのが現状です。

この流れるような美しい凹凸模様ですが、エキゾチックレザーの中でも突出して高低差の大きな凹凸の革です。ゆえに伸縮性も驚くべきレベルで、模様の向きと直角に引っ張るとゴムのように伸びていきます。そういう点では素晴らしい革質と言えます。

これは高低差の大きな凹凸革の特徴ですが、このことが原因でアザラシ革を薄くスキ加工することが困難となります。すぐに凹部分が貫通して穴が開いてしまうからです。

使用用途によってはどうしても革が薄くなければならない場合がありますが、この場合はアザラシ革をプレス加工することで革を薄く、そして革の厚さの差が小さくなるなることでスキ加工時の貫通リスクを減らすことができます。

一般にアザラシ革は厚い場合はそのままの伸縮性のある革であることが多く、プレス加工を施すことによって薄い革が必要な場合でも対応することができます。

ただプレス加工によって革は薄くなりますが、その代わりに前述の「伸縮性」が犠牲になることとなります。繊維が密になって薄くなるので、そのメリットが必要な方向けとなります。

アザラシ革は希少なうえに、キズがある革が多いので、穴やキズを避けながら切革としての販売がメインとなります。(東京店舗では一部丸革での陳列販売も行っています。)

それぞれの加工の仕方、一点ごとに異なる凹凸模様のオリジナリティをわかりやすく確認していただくために「現物撮影」での販売方法をメインに出品していきます。

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