カバ革の種類と特徴
カバ(ヒポ、ヒッポ、ヒポポタマス)
商業名:Hippopotamus(Hippo)
学名:Hippopotamus amphibius
アフリカに生息し、ワシントン条約において輸出量が厳格に管理されている大変希少な革です。流通量がとても少ない革素材と言えます。
カバは体が大きいので、部位によって表情が大きく異なります。(入荷の際に部位の指定ができません。よって様々な表情の革が混ざって入荷します)
一般にゾウ革に似た細かいシボがある部位が多いのが特徴です。
ただこの細かなシボは全ての部位に見られるわけではありません。
カバは見かけによらず大変気性が荒い動物です。普段は水中で生活していますが、とても縄張り意識が強いうえ群れで行動するので、現地では大変危険な動物とされています。知らずにカバの縄張りに侵入すると、突然襲われ多くの人が命を落としています。野性動物による被害者数としては、アフリカではカバによるものが非常に多いと言われています。
この気性の荒さから、とにかく革にはキズが多く見られます。カバ革は、これを特有の『ワイルドな格好良さ』と感じる方が好む皮革素材と言えます。当店の切革ランク規定でも、カバ革に関しては細かなキズは欠点として評価しておらず、むしろバランスよく治りキズが入った部位は、その『格好良さ』から高い評価をいたします。特に『スクラッチ痕』と呼ばれるキズ痕は人気が高く、カバ革ならではの魅力的な表情です。
カバ革の断面構造の特徴は、表皮が極めて薄いことです。鞣しの段階でこの表層を取り去ってしまうので、カバ革の表面はヌバック調の手触りとなります。
『カバは水に住む動物なのでカバ革は水に強い』と言う方がいますが、これは本当ではありません。前述の通り鞣されたカバ革は表皮の無い構造である為、水やお手入れ用のクリーム等は染み込みやすくシミとなる可能性があります。起毛状の表面にある空気層で一瞬水を弾く現象が見られるケースもありますが、これも一時的で時間が経つと染み込んでしまいます。基本的に水に濡れないようにした方が良い革素材です。(カバ革に限らず天然皮革共通で湿気は大敵です)もし濡れてしまったら風通しの良い場所に陰干しをしてカビの発生を抑えてください。
ただこのヌバック調の表情がカバ革の最大の魅力ですので、当店でも『カバ革らしいカバ革』としてそのままの仕上げにて販売しております。
希少な革素材ですので、この『水が染み込みやすい』と言う問題を解決すべく、表面を加工したカバ革も取り扱っています。
表面に加工を施すことで、光沢を出し、水や汚れにも比較的強い仕上げとなっています。
これらの革の仕上げや部位による表情の違いを見ていただきたく、当店では必ず革の表面の拡大写真を掲載しています。希少なカバ革を選んで頂くための参考にしてください。
表皮が無い構造ではありますが、革の本体である上皮/真皮の部分はしっかりと厚く、革そのものとしては大変丈夫な素材と言えます。
本来丈夫で長くお使いいただける希少素材です。その様々な表情とキズ痕、仕上げ方法の特性をご理解いただき、オンリーワンのアイテム用に是非ご検討ください。